モーテルの夜、

そう言うと彼女は右手に持ったフォ−クを置き、電話口に歩いた.
そしてすばやくダイヤルを廻すと、
しばらくの沈黙を置いて、早口に話し始めた.
僕はフォークを持つ手を止め、音を発てないようにしていた.
先ほどまでの話しかたとは違う、
ある意味事務的な話し方でその会話は終始した。
そして受話器を置いた彼女は、肩をすくめながら小さい椅子に越し掛けた.
“変わった事はないかって、、、
可愛い日本人と知りあったって、、  
食事を一緒にしてるって言ってやろうかと想ったわ、、、”
と言って、クスクス笑った. 
音を発てない様にしていたのは正解のようだ.
そのマネージャーと、どんな関係なのか、あえて訊かなかったが、
新しいダンサーと廻ってることに少しのジェラシーが感じられた。