日劇の興奮を胸に、、、

その日は、12月21日だったと思う.
レコード店で貰ったジョンメイオールのニューポートでのポスターを
大事に抱えて有楽町の日劇に向かった.
それが曲がらないように随分気を使って演奏を見た記憶がある.
そして演奏が終わり、出口に向かう人の波も、上手く摺りぬけると、
楽屋口へと向かった. 
当時、世の男性にはその名を馳せた
日劇ミュ−ジックホールの楽屋口の近くに小さなドアがあった.
何分かその前で立ち尽していると、急にそのドアが開き、
中からMOPSのヴォーカル、鈴木ヒロミツさんが出てきた.
何度か彼らのステージで歌わせて頂いた事もあり、
顔見知りの僕を見て、、 ”おう、見に着てくれたの??“
“ここで何してんの?“ 
“ジョンメイオールにサイン貰えないかなあと想って、、、“
“じゃついてきなよ、、” 
ちゃっかり後に付いて楽屋に潜入した。
そしてヒロミツさんに教えて貰った部屋のドアを叩いた.
”YES,COME IN” と感高い声が帰って来た.
“WOULD YOU PLEASE GIVE ME YOUR SIGN?”
とおずおず尋ねると、気軽に顔を立てに振りながら、
手渡したポスターを広げた.
そして、”OH,IT'S GREAT”と言って
そのポスターを他のメンバーに見せた。
そしてシルバーブロンドの髪をなびかせた一人の女性にも、、
その時ポスターを囲んだ小さな輪が出来た.
サインを終わったジョンは、
それをラリー、ハービーにも渡してサインを促してくれた.
サインが入ったポスターは、無事、僕の手元に戻ってきた.
それを見ていたヒロミツさんは、
"俺も持って来ればよかった."と残念そうに言った.
楽屋に入れてくれたヒロミツさんにお礼を言って、日劇を後にした。
頭の中は、先ほどまで聴いてたジョンのブルースが
ハービーのギター、ラリーのベースと共に渦巻いてた。