バスは走り始めた。

事故での停車は20分位だったであろうか、
バスの被害もそう大きくなかったのだろう、
何事もなかったの如く走り始めた。
こらが日本だったら、大変だ。 
そう、前日タクシーで移動中も目の前の車に、ぶつかった車があったが、
お互い怪我もなく、たいして新しい車でもなかったからか、
目と目を会わせ、”ご免ね、”位の会釈で走り去ったのには正直驚かされた.

車といえば、ドアが外れた位の車が、堂々と走っているのにも驚かされた.
アメリカは自動車が発明された国でもあるのだが、このおおらかさと言うのだろうか、
感心せざるを得ない.

僕を載せたグレイハウンドバスはサンフランシスコの街並みから、
闇に向かって轟音を発てながらつき進み始めた。
眠気ざましに買っておいた音楽雑誌を広げて読み始めた。
ギタープレイや―の表紙を飾ったザ.バンドのロビーロバートソンのインタビュー記事だ.
つい先日、このサンフランシスコのウィンターランドで"ラストワルツ"が行われた事は、
この時点では知るよしもなかった。

このインタビューでは、彼が最近使っているギターの事、
そしてバンドの事がはなされてたと思う.
又、他の記事だったと想うが、
リック.ヴィトーが行きつけのギターショップの事を話していた。
ロスアンジェルスのリセダにある、"ノーマンズレアーギター"だ.
この時点で、日本では知る人もいなかっただろうこの店の名前をすぐにノートに書き取り、
このロス滞在中に是非とも行ってみようと決めた.

揺れるバスの中での読書で、目も疲れたのか、ついうとうとと眠ってしまった.