フィービースノウ @ ボストンシンフォニーホール

中央に12弦のES−335を抱え髭を蓄えた男性、
そしてギター、ベースにドラム、キーボード。
コーラスもいた様におもう、、 (記憶がさだかではない。)
おもむろに男性が歌い出す.シンガーソングライターらしいのだが、
柔らかい歌声が心地よく響いた.
次の日の新聞記事で知ったことだが、なんと、ジェシーウィンチェスターだった.
この当時は、僕は彼のことを殆ど知らず、
可もなく不可もないステージだったことだけうっすらと覚えてる.
ギターがギブソンのサンバーストES335の12弦仕様と言う事は、
その珍しさもあって、はっきり覚えていた.
その演奏中に、隣りの席からなにかが回ってきた.
当時もタバコは吸わない僕でしたが、
これには抵抗できずに、一睡、口にした.
そして、それは何事もなかったかのように、又次の席へと回って行った.
インターミッションに入り、トイレに行く人など色々の動きの中に、
帽子を被ったあの人もいましたが、別に我関せずで、ニコニコと廻っていました.
10分位の休憩の間にステージ上の準備を整え、
いよいよフィービーの登場です.
舞台左手にコーラス担当の二人のラテン系のFATな男性を従えて、
中央にこれ又FATなフィービー、そして、‘50年代の見るからに善い音のしそうな、
メイプルネック、ブラックピックガードのヴィンテージテレキャスターを抱えた、
ティーブ、バーグ、(彼はフィービーのレコードでもその名を見ていたが、
それ以前に、マリアマルダーとほぼ同時期にアメリカンノスタルジックな唱方で出て来た、
ポーラロックハートのバックでギターを弾いたリ、プロデュースをしてたので知ってたが、)
そのテレキャスターマスターの名にはじないギターを聴かせてくれた.
時に、チキンピッキング、そして太い音でブルージーなフレーズを、、、
僕がじかに見たヴィンテージテレキャスの第一号になった.
ステージは、“LET THE GOOD TIME ROLL“で幕を開けた。
日本でのデビュー作となった、“サンフランシスコ ベイ ブル―ス“は、
ギター音自体は,リッチヘブンス等のオープンチューニングに影響を受けたと
想われる、素晴らしい演奏を聞かせるが、、
彼女の特筆すべき点は、その歌唱法にある事は言うまでもない.
唯一無二の、ビブラートを上手くコントロールした、時にか細く、
時に力強い歌声は、実に表情豊かで、僕の心を虜にしていた。 
それは代表曲のひとつ、“POETRY MAN“でも、その素晴らしさを響かせた。
そして、ビートルズの名曲、“DON‘T LET ME DOWN“。
ビートルズの曲をカバーした物で、彼らを越す出来の物は探す事は出来ないと想うが、
フィービーのこの曲での歌唱は、並び称されるべきだと想う。
ゴスペル調のコールアンドレスポンスをも交えたステージは、
その時間が短過ぎると想える位に充実したものだった.
劇場を後にする、全ての人の笑顔にその夜出来の素晴らしさが端的に顕れていた。