ロバートとの再会

ボストンの冬の朝は冷え込んでいた.
窓から近くの家の高い煙突が出す煙が
いくつかの塊を作りながら白く空に上っていた. 
朝食をすませ、バッグとギターケースを手にホテルを出て、
ロバートの住むケンブリッジへ向かった.
朝の通勤時間をとうに過ぎてたので、地下鉄も混んではいなかった。
彼の家に付くと、ロバートが変わらない笑顔で迎え入れてくれた.
すぐにギターケースに目をやると、
“何処のギターだい? 何処で手に入れた?”
とギター弾きならではの質問をしてきた. 
ケースを抱きかかえたうでを開きながら、
彼の出してくれたお茶を口にして、一息ついた僕は、
ニューヨークでの48番街の様子、想ったギターがなかったこと、
ギターショップ、アレックスでの彼との遣り取り、
そしてナッシュビルのGRUHNでこのギターを見つけたんだよ、と、
ケースを開けた。
“おお、良いギターじゃないか、、僕も何度か手にした事があるよ、、
これはソリッドで、音が小さいから、ネックの所にピックアップを付けて、
アンプで音を出すと良いんだ.”
“NATIONALの古いギターをレストアーするときに、
リゾネイタ―カバープレートがない時には、
このギターの後ろのプレートを使うんだよ、“
と、NATIONALのギターに精通した者でなければ出てこない言葉を続けた.
そして、フィンガーピッキングで色々と弾いた後、
”所で、君はどんなスタイルのギターを弾くの?”と聴いて来た.
ギターを受け取り、何時もの調子で、ライトニンスタイルのギターを弾くと、、
“何処で覚えたんだい?” 
日本ではまだ教えてくれる人はいないから、
レコードを聴いて”マネ”をして覚えたんだよ、、と答えた.
彼は奥の部屋から、何札かの本を取り出して来て、広げて見せながら、
“これは僕がハワイアンスライドギター奏者について書いた物なんだ.“と、
ソルホーピーの記事を見せてくれた。 
そしてカナダで発行されてるという、小さなブルースの雑誌も見せてくれた。 
何時間か話しただろう、、車の止まる音がして先日会った、
女性、サラがドアをノックして入ってきた.