ロバート、、

ホテルを出て、地下鉄に乗り、ケンブリッジから歩いて彼の家に行った。
階段を上り、ドアを、ノックすると、
30を半ばの、口髭を生やしメガネを掛けたロバートの顔があった.
”Hi!! NICE TO MEET YOU,“ と握手を交わし、
映画でよく見るお客さんを部屋に招き入れる動さに従い、部屋に入った.
部屋には、彼よりも一寸背の高い黒髪の女性がいて、名前をサラと紹介してくれた。
彼女と、日本から来た事、そしてお土産に持ってきた扇子を渡すと、
“IT‘S SO BEAUTIFUL“ と喜んでくれた。
家のロゴ入りだけど、なかなか役に立つ. 
ロバートに、ギターを送ってくれて有難うと礼を言い、ギターの話、音楽の話になった.
サラは、30分ほど他の部屋で物音をたてていたが、
“どうぞアメリカを楽しんでね、“と
ロバートの右ほほにキスをすると、バッグを手にして出て行った.
ロバートは僕にギターを売ったお金で、
ドブロに7弦の特別注文のギターを作ってもらったんだと、
真新しいギターケースを奥の部屋から取りだし、
大事そうに銀色に輝くドブロを抱いた.
そしてやおらスライドを取り出すと、
膝に抱えて、その特別製のドブロギターを弾き始めた.
素晴らしい音だ. 
彼はハワイアンスライドの研究もしているらしく、
そのドブロで奏でる音楽は、耳に馴染んだブルースや、
ブルーグラスのドブロのそれではなく、より土着風味の伝統的なハワイアンだった.
そしてギターを横に置くと、又違うギターを持ち出して、
今度は僕の大好きな、ブルージーな曲を弾き始めた.
そして、弦を調弦しなおして、“ポリスドッグブルース”を弾き始めた。
ところどころにハーモニックスを入れ、的確に音を繋いで行く.
弾き終わると、僕は自然と拍手をしていた. 
照れたように僕の顔を見上げると、その弾き方をゆっくりと教えてくれ始めた。
“ライクーダーのレコードを持ってるよ”と告げると、
”このオリジナルは、12弦奏者なんだよ、だから僕はライの演奏も見たけど、
12弦の感じがより出せるようにアレンジしたんだ.”
とその独特のアレンジ部分をゆっくりと弾いて見せてくれた。
つまり途中のリフを、単弦ではなく、ユニゾンで弾くのだ.
そして弾いてごらんと、ギターを手渡した. 
それまで、そんなにオープンチューニングでのフィンガーピッキングをしてなかった僕は、
面喰ったが、熱心に教えてくれるお蔭で、少しは形が出来てきた.
彼はカルチャースクールで、スライドギターと、
フィンガーピッキングギターを教えてる事などを話てくれた。