NATIONALのギターの話、、、

雑誌、”SING OUT”で見た広告は、4X五センチくらいの小さな物だった。

シングアウトの本自体20X12位のミニコミのハシリの本だったので、

それがどれ位の信用性があるかなど、その広告の文字を見た自分には想像も付かなかった。

ただ、“あのNATIONALを売ってくれる人がいた”、、、というだけで、心が踊った。

早速なれない英語での文章書き、自分がどれくらいブルースが好きで、

サンハウスのレコードジャケットを見て憧れが募っているかを、拙い文章に託した。

そして、届いたのは、白黒の名詞サイズの写真一枚と手紙だった。

その写真には、あくまでも綺麗には映っていない、

ナショナルのレゾネイターギターが、3本映っていた。

その両側は、見たこともない、木製のボディー、

そして真中に、憧れのサンハウスと同じ機種のスティ―ルボディーのギターが、、

写真を見るなり気持ちが昂ぶった。

そして手紙を広げると、、、

“DEAR,FRIEND”で始まり、彼がスライドギターにくわしい事、

そして古いギターを探して来て、友人のリペアーマンに頼み、直してもらって、

あちこちにギターを売ってる事、その中には、

あのビートルズのジョージハリソンもいて、

彼にはナショナルのレゾネイターマンドリンを売った事、

その上、当時大好きだった、ボニーレイットはデビュー前に、

彼の住むケンブリッジの近くのコーヒーハウスで演奏活動をしてて、

彼女が使ってるギター自体、彼が売った物であること、

などの事が、綺麗な自体で書いてあった。

そして、もう一枚、謄写版で刷ったような、フライヤーが、

彼の近く発売予定のLPの広告だった。

これだけの情報で、自分がギターを買う相手としては、充分だった。

早速その夜、逸る心を押さえながら、自分にとっては、始めての国際電話のダイヤルを廻した。

当時は、国際電話の取次ぎを頼んで、一度受話器を置き、

ベルが鳴るのを待って再度受話器を取って先方を待つシステムだった。